接客業はつらいよ! あけすけビッチさおりたん日記!

さおりたんは現代に生きる、不器用なジャンヌ・ダルクです。貞操観念はありません。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

衆人環視の会食で喉に手を突っ込んで豚バラ肉を引っ張りだした話

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豚肉は、おいしい。


豚のあのくさみがダメな人もいるけれど、豚肉が好きな人にとっては、豚バラ肉はこたえられない美味しさだ。イベリコ豚とか、本当に美味しい。


しかしわたしは、豚バラ肉に今後甘い顔はしない。あいつは、人を殺そうとした。


豚バラ肉は、やわらかく口の中でほぐれると思っていた。すとんと胃に落ちるものだと思っていた。甘く見ていた。




ある料理屋で、豚バラ肉を甘辛く炒めたおいしい一品が出た。数人での食事だったので、そこそこマナーに気を遣って食事していた。


その豚バラ炒めは、味も良く、塩加減が絶妙で「ごはんが欲しくなるけど、単品で味わって美味しい」ギリギリのラインを攻めている一品だった。テーブルに「美味しい」という言葉がこぼれる。わたしもそこに乗って言葉を放つ。

「ほんとこれ美味し……(ごくっ)」



豚バラ肉を飲み込んだその瞬間。



喉のかなり下の方に、豚バラ肉がひっかかった。



嚥下すると、肉がひっかかっているのがわかる。喉のおくで、ひっかかっている。ブラーンブラーンと、豚バラ肉が喉と胃の間で踊っている。


「ンガ、ゴエッ」


わたしは変な声を出した。テーブルに緊張が走った。



「ンガ……ほ、ほんと美味グゴォ!」


喉の奥が限界になってくる……飲み込もうとして飲み込めないつらさ、もしかしてこのまま取れないのではないかという焦り、病院へ運ばれる自分の姿が一気に脳内に押し寄せる。救急車の音が遠くから聞こえた気がした……



わたしはテーブルの下に入った。



テーブルクロスに頭を突っ込み、同時に手を喉に突っ込んだ。脳内にブラック・ジャックが現れる。


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いや、免許とか関係なく今助けてほしい。この苦しみをどうにかしてほしい。





喉の奥にある豚バラ肉に指を伸ばし、人差し指と中指でひっかけ、なんとか口へ持ってくる。ゴォオ、ゴオオオと声をあげつつも、すみやかに指は豚バラ肉をひっぱりあげ、口からつるつると胃の入り口まで落ちかかっていた豚バラ肉をすくい上げた!   レロレロと変な声を出しながら、しかし嘔吐をこらえ、豚バラ肉だけを飲み込む前の状態に戻し、ティッシュに包んでポケットに入れた。



胃と喉と背中で息をしながら、ブラック・ジャックの一番好きな話は何だったかを思い出す。


ああ、無医村で無免許医をしていた先生の話が、一番好きだなあと思い出す。


この話には、無医村で堂々と診察をする五十がらみの医者が登場する。しかし彼は、難易度の高い手術をこなせず、ブラック・ジャックが患者を治す。

ブラック・ジャックは無医村の医者を「あなたはニセ医者だ」と見破る。しかし、無医村でたった一人医療に従事する姿は「立派だ」と言い残す。


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このお話の最後で、五十の無免許医は医大へ入り、「五十の手習いでさぁ」と軽く笑う。その軽い笑いの後ろには、たくさんの努力と涙があるのだろう。しかしそんなものは微塵も感じさせない。悪役が悪役を貫き通しつつ、その人の正義を守り抜くような話。


善悪で言うと悪の立場を取る人にも、きちんと人権を認めるブラック・ジャックのポジションに、幼少期のわたしはずいぶん救われた。

この無免許医のように生きられたらいいなと思った。かっこいいと思った。

なんとなくだが、幼少のころからわたしは、自分が学歴で苦しむことがわかっていた気がする。そして、そういう人生を歩みながらも、人が人生でつかむべき果実をじっと見つめていたような気がする。



とにかく、その日は豚バラ肉を指でひっかき出して、わたしは食事の席に戻ったんだ。


食事はよく噛んでするように。では。



★今日の過去記事★

来世は医者になると決めています。ブログとか書かず猛勉強するです。

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医大に受かるのがどれほど大変なのかがわかる小説を読みました。

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グボォ…ゴェエ…とかデートでやったら死ねる。やるけど。

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