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接客業はつらいよ! かんどーのよもやま日記!

趣味はスポーツクラブでグループパワーに参加することと走ることです。仕事は接客業です。しばらく下ネタは封印します。

風俗の面接

電子書籍出版への道

 

※今日は小説です、わたしの体験含めたフィクションです。激しい性描写はありませんが、語句として18禁ワード有。

5分くらいで読めます

 



風俗の面接

 

「フー(風俗)やること? カレシは知ってます。むしろ歓迎的な。応援的な」
 うなずく動作がやけに大きなその若い女は胸まである茶髪を揺らしながら、目線だけは目の前のスーツ姿のイケメン男性から離さなかった。女は全体的に肉付きが良く、派手なメイクにゆるめで派手な洋服。ぱっと見「痩せたら美人」だと言えるくらいには可愛らしい女だ。しかし所作がよくない。目線が固定されているのに首だけを縦に動かすしぐさは、頭が悪そうに見える。あれだ、赤ベこだ。いや、赤ベこに失礼か。
「ふんふん、それじゃあ、スカトロって…いけちゃう?」
 スーツ姿のイケメン男性は、スカトロ、のところでやけに声を高くしていた。まるでそれが大したことではない、誰に聞かれても恥ずかしいことではないと自分と女に言い聞かせるかのように。レトロな趣を残しつつも現代的な距離感を極めた喫茶店の中で、二人はふつうの会話をするテンションで風俗の面接をしていた。
「えー、スカトロって、うんこ食べるやつですよね? やんないとダメですかぁ?」
「ううん違う違う、ほとんどのお客さんは、自分が食べたいっていう人だから。アヤさんは、お客さんがどうしてもって言ったら、あーんしてあげればいいだけ。それにね、スカトロやりたがるお客さんって、すっごい長い時間取ってプレイに入るんだよ。だからお金持ちで、通ってくれるとすごいお金になる。こういうお客さんつかめるとね、泊まりだと12時間で、アヤちゃんの取り分は12万円。すごくない?   一晩で12万って、めっちゃおいしいでしょ?」
「うーん……おいしい、かも?」
「たとえばさ、14時に出勤してー、終電の22時までお店に居てー、お客さん1本しかつかなかったらさ、1万5千円なわけ。それが、泊まり一回で12万円、すごいでしょ?」
「あー、あたし別にー、スカトロが嫌っていうわけでもないんですよー。ただぁ、みんなやってるんですかぁ?」
「本気の子は、やってる。っていうか、何でもやりますってとりあえず言う。そういうの伝わるからね」
「えーじゃああたしも本気、本気で稼がないとヤバいし」
「アヤちゃんは本気だよね、なんか会ったときからそう思ってた。じゃあさ、今日面接行ける?」
「えー、今日はこれからお店行かなきゃだからー、明日! 明日なら何時でもいいよ」
「……明日、じゃあ、明日の17時にまたさっきのとこで待ち合わせ、できる?」
「ハイ」
 また若い女は赤ベこうなずきを繰り返し、つけまつげのついた目元をぱちぱちとさせた。緻密さの無い、雑ではっきりとした化粧顔がわらう。この若い女はこうして誰の前でもこの顔でわらうのだろう。そもそもこの風俗の面接、いくつ嘘が入っているか見抜けてる? スカトロが好きな人は自分が食べられればいいなんてこと、ないから。ガチでスカトロが好きな人とプレイし続けていたら、ぜったい自分も食べるシチュエーションになるって。そこはぼかして、すぐに高収入の話に切り替わったの、ちゃんと気づいた? 
 ……気づいてても、気づいてないふり、しちゃったのかな。
 アヤと呼ばれたこの女はきっと、すべてのいやなことから目をそむけて、若さだけが持ちうるスルー力でもって、一番大事な、おそらくはホストのカレシとの関係だけにすべてをつっこんで生きていくのだろう。そんな若さがうらやましい。雑でも、顔が大きくても張りのある顔やからだの皮膚がうらやましい。多少太っていても「肉感的」に見えてしまう、はちきれんばかりの若さがうらやましい。ぜんぶつっこめるその勢いこそが「若さ」であるとわたしは思う。




「……どーさん、ちょっと! ちょっとかんどーさん!」
 現実に引き戻された。わたしのとなりの、なんでなんでちゃんがスマホを片手にこっちを見ている。長いあだ名の彼女は、知的なメガネの奥からエロい目線をのぞかせる。ぱっと見は髪を後ろでたばねた普通の女性だが、幼な顔と対照的な豊かな胸に目が行ってしまう。わたしは小声で彼女に言う。
「あ、ごめん、ほら、あちら風俗店の面接っぽいじゃん? なんかああいうの好きでさ」
「わかりますけど、そろそろ齋藤さん来ますから、かんどーさんもDMチェックしててくださいよ」
「ああ、うん」
 そうこうしているうちに、風俗の面接らしき男女は席を立った。二人の会話がなくなると、店内はいわゆる「普通の喫茶店」の雰囲気を取り戻していく。ここは歌舞伎町。風俗の面接はけして珍しい光景ではないが、彼らがいる間は、独特の空気が場を支配する。
「……あ、あの子のハンカチ!」
 面接を受けていた若い女の座っていた席の下に、桃色のタオルハンカチが残されていた。とてもすてきなタオルハンカチだったから、きっと大事だろう。わたしはタオルハンカチを拾って、喫茶店入り口のレジに走った。タオルハンカチはやわらかい手触りで、彼女の心みたいに見えた。一見丈夫なんだけど、じつはとても繊細。ほころびるとボロボロになってしまうの。ほんのり香水の匂いがするタオルハンカチを持って赤いじゅうたん踏んでレジに走ると、若い女はあーっと口を開け、口角を上げてうれしそうにわたしに駆け寄る。雑な顔が大きく花開いて、わらう。どこにでもある花が、わたしだけのために、咲いた。
「ありがとうございますー!」
「いいえ、お気をつけて」
 わたしはなぜか、お気をつけてと言ってしまった。彼女の人生に、幸あれ。雑な20代を過ごしても、どこかで緻密な感情を取り戻して、自分らしくあれ。ただすれ違っただけの関係だが、わたしは彼女に心からのエールを送った。

 そんなやり取りがあった5分後、独特の金髪にサイバーな雰囲気のサングラスをかけた齋藤さんがその店へとやって来た。わたしたちはこれから歌舞伎町にある中華料理店で虫を食べる会に参加するのだ。主催者はわたしということになっているけど、最近はお店の予約などほとんどのことを、昼はサラリーマン夜は変態のある人がしてくれているので、わたしは参加者気分で楽しめるのだ。ありがたい。
 その集まりの前に、早く来られる人は集まってお茶を飲もうということで、この店で高くておいしいコーヒーを飲んでいた。
 なんでなんでちゃんと齋藤さんはSMの話をしていた。本格的な縄の話やさっきの面接でも語られた「スカトロ」の話題が中心だった。わたしは、ちょっとした下ネタは平気だが、ここまで本格的な話にはついていけない。困った顔で少し笑って、わたしは虫オフ会の参加者リストに目を落とす。待ち合わせの時間を確認する。今日も楽しい会になるといいな……きわどい会話ばかりしている2人を優しい表情でみつめながら、わたしは今日という日に心から感謝した。
 いろんなことがあったけれど、こうして飾らない自分で会える人が100キロ圏内にたくさんいる。これがどれほど心強いことだろうか。半径10メートルの教室の中、いじめに震え、小さな世界で苦しんでいたわたしは、おとなになってやっと自由になれた。さあ、宴はこれから。わたしたちはこれからゲテモノを思い切り食べる。虫も食べるし、もしかしたらウサギやハトだって食べるかもしれない。そのほかにも興味をそそるメニューがたくさんある。ここは歌舞伎町。世界中のゲテモノが集まってくる場所。人も、食べ物も、ルールをぎりぎり守ってるけど、かなりきわどい。言ってしまえば、わたしたちだって都会のゲテモノだ。
 今夜は退廃的な空気の中、みんなで大いに騒ごう。誰の事も裁かない仲間との集まりに向かうため、わたしたち三人は、齋藤さんを真ん中にして横並びに手を繋いだ。繋いだ手を離さないまま、はぐれぬように夜の街へと躍り出た。

 

 

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たまには小説もアップしてみます。サブブログはエロ小説とエロ話で埋め尽くしたいので、今日のはこっちにアップしました。

読みにくかったらゴメンナサイ。



Special Thanks to Nandenande-chan,Mr.Saito,Take-chan,and...You!


それじゃあ、また明日!


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この小説を書くきっかけになった歌舞伎町での虫オフ会!
 

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