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接客業はつらいよ! かんどーのよもやま日記!

趣味はスポーツクラブでグループパワーに参加することと走ることです。仕事は接客業です。しばらく下ネタは封印します。

「接客がつらい」を乗り越えさせてくれたお店

昆虫食 接客・店舗運営




ある寒い日、携帯ショップにてんとう虫が迷い込んできた。


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たしか、てんとう虫は集団で越冬するはずだ。さては迷い込んだか、外より幾分暖かい携帯ショップに。そして君が張り付いているのは発券機。携帯ショップで一番おちつかない場所へようこそ。そこじゃかわいそうだ。わたしがもう少しいい場所へ君を案内してあげよう。

てんとう虫は、大きくてつやつやで、硬そうな体をしていた。わたしはこみあげる食欲をおさえてそれを手のひらでつつんだ。
 


お客さんが来た。


てんとう虫を手につつんだわたしを見て、おや?   という顔はするものの、別に気にもとめないようすで、

「あのね、キャンペーンのチラシを見たんだけど、まだあの機種はある?」

と聞いてくる。てんとう虫を右手だけに持ち替えて接客開始。
 
ありますよ、こちらです。と答え、わたしはお客さんをその機種へ案内する。あまりガッついてベタ付き接客するのも合わない土地柄。わたしはお客さんに簡単な案内をすると、少しだけお客さんから離れる。自由に店内を遊んでほしいから。
 
 
わたしは少し笑った顔のまま、手の空いているスタッフさんのところへ行き、てんとう虫を見せる。みんな、あっ!   と注視してくれる。てんとう虫はモゴモゴと手足を動かすが、冬のてんとう虫は動きも感覚も鈍いらしい。上へ上がろうというアンテナが曲がってしまったのか、わたしの指先へ上るどころか、袖口からからだのなかに入ろうとしてくる。

夏のてんとう虫は上へ、上へと向かうのに、冬のてんとう虫は中へ、中へと動くようだ。気温や環境が生き物に与える影響は計り知れない。人間だってきっとそうだ。


袖口からわたしの中に入りたがるてんとう虫。もっと中へ入ればあたたかいと思っているのでしょう? でも、初見のあなたはダメよ。とくに体の中へは…ね。なんて女郎のような気持ちになりながら、わたしはてんとう虫と一緒に外へ出る。
 
 
幹線道路沿いの携帯ショップ。目の前に広がる駐車場。わたしはお店を出て左へ曲がる。小さな菜園がある。ショップスタッフさんが水をやったり見たりしながら育てている、小さな菜園。
 
 
わたしはこのお店が好きだ。3年前、接客がつらくて仕方なかったわたしを、接客が面白くて仕方ない状態まで引き上げてくれたお店は、ここだ。
 
 
ありがとう。

そんな気持ちをこめて、大きなてんとう虫を、菜園の葉の上に置いた。寒さは辛いかもしれないけど、ここなら陽もあたる。壁を伝っていけばまた室内にだって入れる。どこかでがんばって越冬するんだよ。冬のてんとう虫は、最後まで飛ばなかったが、自分の居場所を探して動き出した。



お店に戻ったわたしは、電話機を見ている、さっきのお客さんに話しかける。いい頃合いだったようで、会話が始まる。

「今見てたんだけど、これとこれはどう違うの?」
「あ、それは…それでこっちがこうで」
「こっちがいいなぁ! 思ってたより安いねぇ」
「わたしもこっちがいいと思います! 年末年始でお写真撮ると思うんですけど、この機種ならこんな風にみんなで見られますよー」

自然に話す。いつからだろう、こんなに自然にお客さんと話せるようになったのは。わたしはこのお店で定期的に仕事をするようになってもう3年が経つ。たしか3年前の今頃、接客がつらくて、社長もつらくて、自分を騙し騙しいろんな現場を回っていて、たまたま出会った現場がここだった。


この携帯ショップは、小さいけどすごい。クレーム対応技術もマニュアルを超えたものがあるし、地元密着型のいいところをしっかり押さえて、対面接客の段になったらお客さんを自然に名前で呼ぶ。それまでクレームが怖くて、怒鳴られるのが怖くて怯えながら出勤していたわたしは、このお店に出会って、みんなのいいところをまねするところから始めた。一人ひとり持ち味が違うから、何度行っても学ぶことはあった。

もちろん、研修生として入っているわけではないので、光回線の獲得や副商材の販売に注力する。仕事をしながら、みんなの仕事のいいところをどんどんまねする。だんだん接客中に笑えるようになった。実はあの頃わたしは、接客中に笑えなかった。


やっと笑えるようになってきた頃、別のお店の仕事も請けた。正直賭けだったんだけど、この賭けにはわたしが勝った。別のお店でも、あのお店のいいところを思い出して接客するとなぜかうまくいった。「○○さんならこう対応するだろうな」と想像してやってみた。お客さんは怒鳴らないでくれた。そして新しく行ったお店でも、必ず何か学んで帰ってくるようになった。自分の中で、仕事と学びが一体になった気がした。接客業は技術職だという認識に変わった。


そうして季節が2回まわった今、わたしは仕事の時間がすごく楽しくなった。文章を書いてる時間もすごく楽しいけど、ショップでスタッフさんと笑いあってる時間も大好きだ。クレーマーが乗り込んできた瞬間も、空気で察知できるようになった。来たなと思ったら、どんなタイプのクレーマーか見極め、なるべく穏便にすますこともできるようになった。怒鳴られても、怒鳴ることを予想できるので、ショックを受けにくくなった。自分が悪くないのに自分を責めることがなくなった。


接客業がつらい、そうなってしまうともう働くのはきつくなってしまう。わたしはすごくラッキーだった。自分を変えてくれるこのお店に出会えて、気持ちが変わった。


「つらい仕事だと思ってやっていたら、つらいままになってしまう。クレームは受けるのではなく受け流す技術も必要だな。話の主導権をつかめるキーワードを準備しよう。あと、話のレールを敷けるように、クレーム対応も、タイプ別お客対応も準備してしまおう。準備してあればそれを出すだけだから、つらくならないハズ」


その後は自分自身で「もっといい接客をしよう!」とあらゆる業態のサービスを体験して、接客スキルを磨くようになった。


ホテルで働く人、レストランで働く人、ガソリンスタンドで働く人、長距離バスの運転手をしている人、たくさんの人の仕事術やクレーム対応術をインタビューしにいった。たまたま見つけた「神対応」も、「どうしてああいう風に対応したんですか?」と聞ける場合は聞いた。なりふり構っていられなかった。ぜんぶ、すぐに取り入れた。ひとつずつ、武装している気分になった。怒っているお客さんを、出オチで笑わせることができたのが、今年一番の収穫だった。



そして今日。今年最後の携帯ショップ勤務の日。


もしかしたら今日、わたしは怒鳴られてしまうかもしれない。でも、もう心が病んでしまうことはない。接客がつらい状態を一度乗り越えられたから。もう、出勤するのが怖くなることもない。販売員として、お客さんにとって最適な端末を提案して、軽い世間話も交えて笑うだけだ。(接客中のわたしは良くも悪くもノリが軽い)


今日、出勤したら今年は皆勤賞だ。


残念ながらうちの会社は皆勤賞制度を定めていない。(定めていても社長にそれを適用するか、些か微妙)


でも、わたしは皆勤賞だ。それは自分でわかってればいい。スタッフの皆勤賞は何か用意したいな。今からでも用意しよう。やっぱり、皆勤賞は頑張った証だから。
 
 
なんか今年はいい終わり方ができそうな気がする。

 
行ってきます。


それじゃあ、また明日!


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