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接客業はつらいよ! かんどーのよもやま日記!

趣味はスポーツクラブでグループパワーに参加することと走ることです。仕事は接客業です。しばらく下ネタは封印します。

クリスマスにイケメンとデートした話

小話・小ネタ

 

 


こんにちは。貫洞です。


クリスマスですなぁ…。

 

わたしは携帯ショップの販売員なので、いろんな店舗を転々としているのですが、ショッピングモールの中の店舗で仕事をした日は、一日中クリスマスソングが流れていて、最初はウキウキしたんですけど、さすがに毎日聴き続けていると、ちょっとおかしくなりそうでした。


今年のクリスマスは、たまたまシフトがお休み。近所のケンタッキー予約してあるのでそれを受け取って、あとは適当に何かみつくろって食べようと思ってます。いたってフツー。


…でもまあ、クリスマスじゃん? 特別な日じゃん?   ブログだけでもクリスマスっぽい内容を書こうかなぁと思いました。








まだ夫と出会う前のお話です。

 




28歳。そろそろいい年齢になってきたのに仕事もプライベートも落ち着かないわたし。まともな恋もしたことがない。体を求められて、体の関係を持つ…それの繰り返しで、そこに気持ちはあまりなかった。好きで好きで、デートを重ねて…みたいな普通の恋愛に憧れていた。

 

ファッション雑誌で「恋・デート」が特集されていると、必ずその雑誌を買った。ダイエットやアルコールから逃れたわたしは、そろそろまじめに男の人と付き合ってみたかったんだ。


「どこに行けば男の人と出会えるんだろう…」


雑誌には、そこまでは書いてくれていなかった。ただ、キーワードが「女友達」であることが読み解けた。

「女友達と行ったクラブで知り合いました」
「女友達と飲んでたら声かけられました」

こういうシチュエーションが多く載っていた。そうか、女友達か。


わたしはまず、女友達をつくる努力をした。聞き上手になるための本も読んだし、相手の話を聞く努力を怠らなかった。いつも緊張していたけど、過去の知人を友達にする活動にも精を出した。


その甲斐あって、すぐに女友達はできた。その友達といると、イベントごとに誘われたとき、一緒に行けるのですごく動きやすかった。友達がいるとこんなに行動範囲が広がるのか…!   とわたしは驚愕した。友達の名前はアユといった。


季節は晩秋。知人のマサくんからイベントに誘われた。夜のライブイベントだったから、わたしは迷わずアユを誘ってイベントに行った。みんな顔なじみっぽい感じで最初は居心地が悪かったのだけど、アユの社交性に救われた。アユはある一団と打ち解け、わたしとアユはライブの合間にその一団とカンパイして、ワイワイ騒いだ。



その一団の中に、光る宝石のような男のひとがいた。



わたしは目を奪われた。ふだんの生活では絶対に会わない、金髪のツンツンした短髪。秋の装いでもわかる、均整の取れた筋肉質の身体。彫りの深い美しい顔立ち。

彼は音楽がとても好きなようで、どんなに一団の会話が盛り上がっていても、ライブが始まるとドリンクも置いて前の方で演者をしっかり見ていた。


わたしは自分もそうしたいと思って、前の方に行った。金髪の男のひとは、少し長い前髪の間からのぞく瞳でわたしを見て、ニコッと笑ってくれたんだ。


ここから、金髪…ショウくんとわたしの関係が静かに始まった。


ショウくんは、イベントに誘ってくれたマサくんの友達だった。マサくんとアユはなぜか仲良くなっていて、わたしとショウくんはまるで大学生のサークルのノリで友達になった。(大学のサークルはあくまで想像上)4人で何回か、集まったり遊んだりした。


ショウくんは、ある段階で「二人で会う」ことを提案してくれて、わたしとショウくんは二人で出掛けるようになっていった。



季節は冬になろうとしていた。

ショウくんは飲食店のチーフとして働きながら、バンドをやっていた。音楽が好きすぎてバンドをやっているのだと言っていた。週2日ある飲食店の休みは、バンドの練習やリハ、ライブで埋まっていて、わたしの入るスキマなんてなかったんだけど、ショウくんは飲食店のシフトを調整してくれて、一緒に夜ご飯を食べに行ったりしていた。


仕事はすごくまじめに取り組んでいて、音楽にも全力投球。二人分の人生を生きていると言ってもいいくらい、ショウくんは自分の人生に全力だった。どんなに寝不足でも、ショウくんはキラキラしていたんだ。


会うたびに、話すたびに、ショウくんを好きになっていく。会えない時間でも、電話やメールをするだけで、また好きになっていく。好きすぎて、どうしていいかわからない。こんな気持ちは初めてだ。




ある夜、ショウくんのライブに行った。ステージでのショウくんはただその音楽の世界に深く深く入り込んでいた。金髪の前髪がゆれている。ショウくんのまわりの空気は、すごく澄んだものに見えた。観客の何人かは、ショウくんの持つ澄んだ空気に気付いたのか、ライブ後にショウくんに話しかけていた。


わたしは、一緒に来てくれたアユとマサくんに「ショウくん人気だね」って苦笑いした。アユは


「サオリはショウくんに本気なんだね。応援するから、そんな顔しないで」


って励ましてくれた。アユに背中を押され、わたしはマサくんとアユと3人で、ショウくんに声をかけに行った。ショウくんはみんなでひとしきり話したあとで、わたしに耳打ちした。


「あとで電話する。大事な話あるから」


こんな3秒くらいの出来事で、わたしの心は明るく輝き、また「好きで好きでしかたない」状態に戻ってしまう。


ショウくんの「大事な話」は、クリスマスデートのお誘いだった。場所は定番デートスポットと言われるおしゃれな街。わたしはその日を指折り数えて楽しみにしていた。人を好きになると、会える日をほんとに楽しみにするんだって初めて知った。


その日までわたしたちは、お互いの日常を忙しく過ごした。合間をぬって、短いデートを何回か重ねた。

表参道を手をつないで歩いたり、カフェで両手で頬杖ついてショウくんの話を聞いたり、ひとつのクレープを二人で食べたり。ふたりは友達以上恋人未満のふわふわした時間を思う存分楽しんだ。

わたしは、アル中だった過去とかクラブシンガーやキャバクラの客引きの仕事とかはぜんぶ隠していた。ただ、今は営業の仕事してるとだけ話した。

ショウくんに嫌われたくなかったから。今のわたしは昔のわたしと違うから。友達のいる、今のわたしを好きになってほしかったから。




クリスマスデートの日。


街は、キラキラしてた。駅で待ち合わせする人の顔も、待ち合わせの相手と会えた瞬間の顔も、キラキラがはじけていた。現れたショウくんは、その中でもとびっきりキラキラしてた。ショウくんと歩くおしゃれな街は、何もかもがキラキラしてた。わたしも精一杯のおしゃれをしていた。

ショウくんが予約してくれたお店は、地元のカップルが押し寄せる人気のレストランだった。緊張しながらも、ショウくんとのデートはやっぱり楽しかった。今夜はゆっくり話せるんだと思うと、笑顔がおさえられなかった。


ゆっくり食事をして、キラキラした街を歩く。途中の公園で、なぜかかくれんぼをしたりした。時間はあっという間に過ぎて、帰らなきゃいけない時間になった。

デートの終わり間際に「付き合おう」って言われた。わたしはうんと答えた。別れ際に、短いキスをされた。

 

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 クリスマスデートの数日後、わたしはショウくんの部屋に誘われた。部屋に入ってドアを閉めた瞬間、ショウくんは深いキスをしてきた。ちゃんと、ちゃんとあたためてきた「好き」が形になる瞬間は、こんなにもあたたかいんだと知った。ショウくんはその流れのまま、わたしをベッドへ連れていった。


ショウくんは、全力でわたしを愛してくれた。


終始リードしてくれて、わたしが声を出しかかるとキスで口を塞ぐ。快感を逃がすための声を塞がれてしまうと、快感は再度わたしのからだに戻ってきてしまう。めくるめく快感に身をよじり、わたしはショウくんに、溺れた。わたしも、してあげたいと思うことをぜんぶショウくんにした。ショウくんの喜ぶ顔が、見たかった。


体と気持ちはつながっているんだって、ショウくんに教えてもらった。好きな気持ちが大きいほどセックスは気持ちいいんだってわかった。

 

 

 

 

付き合って1カ月が過ぎた頃。ショウくんはわたしに聞いてきた。


「サオリは自分のことあまり話さないよね。サオリの今までのこと、聞かせて?」


悩んだけど、わたしはぜんぶ話した。ショウくんとほんとうの意味でわかりあいたかったから。

学生時代からつい最近まで友達がいなくて苦しんでいたこと。アユは最近友達になったばかりだということ。アユと友達になったのは、女友達がいないとどこにも行けないからだということ。少し前、ダイエットがきっかけでアルコール依存症になったこと。断酒会に参加していること。挫折ばかりの人生だったこと。少し前までキャバクラの客引きをしていたこと。生理前に気持ちが乱れること。

ショウくんはわたしの話を聞き終えると、眉間に皺をよせて黙り込んだ。その日ショウくんはわたしを抱かなかった。


そのちょっと後、生理前のイライラ期にショウくんと会ったとき、少しキツい物の言い方をした。これもわたしだから、わかってほしかった。


でも、これもわかってもらえなかった。



その日を境に、少しずつ、会う機会が減っていった。


ショウくんは、リハーサルや仕事を理由に、わたしと会わなくなった。何も言ってくれないけど、これが「終わり」なのだということはなんとなくわかった。でも、まだ知り合って2ヶ月、付き合って1ヶ月。理解できない部分があっても、時間をかけてわかりあえないだろうか?   わたしはなんとか関係を元に戻したくて、ショウくんの家に押しかけた。どういうつもりなの?   と聞いた。


ショウくんはわたしをあまり見ずに、言った。


「僕は、君を両親に紹介できる自信が無いよ」


わたしの目の前は真っ暗になった。もう、サオリとも呼んでくれない。



そうか、この人はわたしの過去や生き方を、そんなふうに見ていたんだ。この人にとって、わたしは「親に紹介できない」人間なんだ。そっか。もういいや。わたしは何も言わず立ち上がった。追いかけては来なかった。電話も、メールもなかった。


一人の家に帰る。やっぱり電話もメールも来なかった。わたしはショウくんとの思い出を消そうと思い、携帯にオールリセットをかけた。全部のデータが消えた。パソコンも初期化して、出荷時の状態に戻した。いいんだ、パソコンなんてネットが繋がれば。とっておきたいデータなんてない。


何もない部屋で、唯一の暖房器具のホットカーペットの上で頭から毛布をかぶってぺたんと座っていたわたしは、膝の上のノートパソコンのふたを閉じた。




みんな、みんな夢だった。


ショウくんなんて、夢だった。


あんなひと、最初からいなかったんだ。



だから寂しくないし泣かないし、今まで通りに生きていけばいいじゃん…そう思っていたのに。

涙が溢れて止まらない。わたし、寂しい。あんなに好きにさせておいて、いなくなるなんてひどいよ。あんなに抱きしめてくれたのに、あっけなく捨てるなんてひどいよ。わたし、本当のことを話したのに、受けとめてもらえなくて悲しいよ。


泣いて、泣いて、泣きじゃくった。たまにゼリー飲料を飲んで、また泣いた。泣いているうちに、ショウくんの金髪の前髪を思い出した。もうわたしの顔にかかることはないサラサラの金髪。もう二度と触れられない手や腕や頬。ショウくんは、間違いなくわたしのたからものだったんだ。


波のように押し寄せる感情に飲み込まれて、わたしはとうとう3ヶ月、泣き続けた。ショウくんと付き合った時間より長い時間、わたしは泣き続けた。想いが届かないことがこんなにも悲しいなんて、知らなかった。初めて出会う感情に、わたしは子どものように泣き続けた。その間、誰とも会わなかったし仕事もしなかった。ギリギリ、家賃と日に3つのゼリー飲料だけは買えた。

 

 

 

 

3か月泣いたら、乾いた風が心の中に吹いた。これが、時間が解決してくれたってことなのだろうか。涙は、枯れた。もう泣こうと思っても泣けない。乾いた心のコンパスを取り出して、行く先を自分で決めた。

舞い戻った現実の世界は、想像以上に乾いていた。恋愛中のよく潤った、湿度の高い世界じゃなかった。乾いた世界でわたしは、また飛び込み営業の仕事をした。乾いた心は仕事がしやすい。わたしは、飛び込み営業だけは本当に得意だった。


ビジネスの世界に慣れてくると、こっちの世界にも快楽があることに気づいた。例えるなら、ベルベットのような毛並みを持つ小動物を撫でるときのような、濡れてはいないけど心地よい手触り。恋愛とは違う、乾いた手触り。

それは、ビジネスの快楽。お金を稼ぐ快楽。仕事を身につける快楽。割り切って働く人だけに見える成功への最短ルート。


混んでいる電車、進まない高速道路、行く手を阻む目に見えぬ魑魅魍魎の中、わたしはビジネスの世界で生きていくと覚悟を決めた。高速道路の連なるライトに向かって心の中で「見てろよ」とつぶやく。今に見てろ。仕事で身を立ててやる。世の中に残る仕事をしてやる。わたしの中でくすぶっていた炎が、音を立てて燃え上がった。

 

 

 


…今日も長くてごめんなさい。


わたしがブログで伝えたいのは、何事も全力でやりつくした後には、必ず残るものがあるということです。仕事も、恋愛も、全力で取り組み、全力で愛することをすれば、想像以上に自分の中に何かが残るんです。その「何か」が人を深くする。次に同じことがあったときに対処できる力になる。苦しんでいる人の力になれる。


だから、今好きな人がいるひとは、全力で恋をしてほしい。自分の思いをひっこめる必要なんてない。全力で好きな人にぶつかってほしい。好きだって声に出して言ってほしい。

仕事に夢中の人は、しばらく腹を決めて仕事に没頭してほしい。きっとその仕事は一回りも二回りも自分を成長させてくれるものだと思う。


適当にする恋愛や仕事ほど無駄な時間は無いと思う。全力でしたことに対してだけ、神様はたからものをくれる気がするんです。






いろいろあったけど、わたしは幸せです。あの恋の思い出も、がむしゃらに仕事をした日々も、すべてがたからものです。


メリー・クリスマス。すべての人に幸せなクリスマスが訪れますように。


遠くて近い空の下から、読んでくれたすべてのかたに愛をこめて。



それじゃあ、また明日!



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